例会報告

【第569回2月特別大会】

 
日 時 : 平成17年2月24日(木)
場 所 : 京都全日空ホテル
講 師 : 大島 修治氏(キャセイ産業株式会社代表取締役)
テーマ : 「感謝の人間学」 人生逃げたらあかん

第569回2月特別大会はキャセイ産業株式会社代表取締役大島修治氏を迎え京都全日空ホテルで開催されました。

<講師講演>

■ お元気様です!

「お元気様です!」私は挨拶をとても大切にしています。そして、言葉も同じぐらい大切にしています。コミュニケーションの中で言葉は実は7%ほどしか重要度を占めていません。しかし、私は火傷にあって、自暴自棄になった時、母の一言で生きようと思いました。それほど、言葉は重みを持っているのです。皆さん、「お疲れ様です」なんて言っていませんか。それでは疲れがたまる一方ですよ。「お元気様です!」さあ、元気を引き出しましょう。実際にこの挨拶を導入されて職場に活気が出たという会社があります。それでは、皆さんご一緒に「お元気様です!」

■ 人生「くだり坂」「のぼり坂」そして「"まさか"」

私はとても貧乏な幼少時代を送りました。いつかお金を儲けて親に孝行したいと思っていました。最初に興した会社は手形が不渡りになり倒産。若かったこともあり、再び会社を興し現金主義で右肩成長。しかし、その時"まさか"が起きたのです。夏の暑い日、暴漢に襲われガソリンをかけられ火をつけられました。全身の6割の火傷です。火傷は肉まで達するものでした。

■"まさか"からの再起

入院後2週間して目が覚めました。生きている事への喜びもつかの間、火傷の治療はまさに地獄のようでした。そうなると精神的に犯人がとても憎く感じるんです。すると担当医まで憎くなる、ついには妻まで憎くなる。誰も信じられなくなりました。さらに、全く眠れない。モルヒネを点滴してもらうときだけ少し気分が楽になる。しかし、それは麻薬状態と同じ。何度も自殺を試みました。だが、指が溶けて紐が結べない、睡眠薬も看護婦に取り上げられる。それからは肉体の再建です。今まで18回の手術を行いました。全身麻酔をしても痛みを感じるほど、それは過酷なものでした。

■ 人間関係の大切さ

このような体験をして私は「何のために生かされているのか」を自問しました。そして「良い人間関係を築きながら人の役に立ちたい」というビジョンを立てました。何よりも人と握手をしたい。その為に3度の手術を経て火傷で失った手の親指の代わりに足の親指を移植することで手に入れました。道教の教えに「面受して面受する」という言葉があります。つまり、お互いに対等の立場に立つということです。良い人間関係の基本は声を掛ける事です。これらは全て相手の存在を認めることです。お互いに認め合うことです。ここで「ふれあい5か条」を上げましょう。

1.「認め愛」
2.「許し愛」
3.「支え愛」
4.「励まし愛」
5.「助け愛」

これらは「信愛」につながります。相手を認めることで感謝の気持ちがわいてきます。

■どのように感じて生きていますか

「人生思うようにうまく行かない」と思っていらっしゃいますか。当然だと思ったあなた。それは「人生思うようにうまく行かない」という「思ったとおり」になっていますよね。「出来ると思うこと」はとても大切です。天才と普通の人を分けるものは「縁に気付き、縁を活かす人」です。縁に気付いた時、「縁を活かす」事が出来ると思っていらっしゃいますか。
さて、私は火傷によって短所を持ったことになるでしょう。しかし、少し見方を変えてみてください。足りないからこそ人の助けに感謝の念が生まれるんです。不自由があるお陰で私達は多くを学ばせて頂いているんです。短所がある。いいじゃないですか。短所は補えばいい。嫌なことは自らの成長の為にある。支えてもらうことは借りを作ること。支えてもらうことは「ありがとう」を言えることです。どのように感じていきていますか。

最後に大島氏自作の詩を朗読され、会場の雰囲気は最高潮に達しました。

「天から生かされた命を何のために使いますか」

情熱を持ち、燃え続ける大島氏から頂いた「問い」は私達に「生きる」ということはどういうことかを再認識させてくれます。


(同志社大学・経済学部3回生・栗栖智宏)