例会報告

【第593回10月大会】

 
日 時 : 平成19年10月22日(月)
場 所 : 京都全日空ホテル
講 師 : 谷澤 忠彦氏 (弁護士)、 山ノ井 和則氏(衆議院議員)
コーディネーター : 上田雅弘(ベリングポイント(株)取締役・当クラブメンバー)
テーマ : 「年金問題の全容に迫る〜消えた年金と社保庁改革、今後の課題」





今月の経済人クラブは年金問題についてシンポジウムを開催させていただきました。

パネリストに、消えた年金問題の火付け役である谷澤忠彦弁護士、年金問題に取り組む民主党山井和則衆議院議員、コーディネーターにべリングポイント(株)の上田雅弘氏(当会会員)お迎えいたしました。

まず、はじめにコーディネーターより現在の年金制度について簡単なレクチャーを受けまして軽妙かつ・人情味溢れる谷澤ワールドへ。

▼日本の年金制度の抱える一番の問題について

谷澤:
やっぱり、国が最終的な責任を持つことだと思います。国が始めた事業で「安心だから」って言って徴収して、運用して、最後に自分たちで懐に入れたりして記録がないから返せない。これではいったいなんだか分かりません。始めた奴が最終責任取るのは当たり前のことです。私は個の責任を徹底して追及して参りましたし、今後も続けて行きたいと思っています。

山井:
先生と同じです。そして、それに加えて制度自体に大きな問題があると考えています。まずは年金の財源の問題です。国民年金では20代の収納率が極めて低い状態になっています。このまま続けていけば、数十年後に大量の無年金者が生じてしまう。このような制度をこのまま続けて行っていいのだろうか。現行の保険料方式を全額税負担にした新しい制度を構築する必要性があると考えています。

▼消えた年金の政府・社会保険庁の対応の問題について

谷澤:
やはり、役人と言うのはいい加減なやつらなんです。あいつらに任せていてはもらえるもんもなくなってしまう。その根本の役人の意識から変えていかなくては、社会保険庁うんぬんの問題ではないと思っています。
そして、消えた年金問題の対応として第三者委員会が作られましたが、これがまた本当にいんちき極まりない。この委員会に申し立てしましたが、誰が委員で、どんな基準で審査しているかさっぱり分からない。こんな救済されない委員会つくっても救われません。みんなで訴訟を起こして国と戦ったほうが良い。私は徹底して戦う、皆さんも一緒に提訴しましょう。20000人提訴すればたぶん社会保険庁自体がパンクします。その時になってはじめて社会保険庁は真の意味で改革に取り組まざる得ないと思っています。

山井:
これは、薬害エイズとまったく一緒の問題なんです。役人が情報を隠して。我が党の長妻昭衆議院議員が初めて国会で取り上げたときも社会保険庁はしらを切りました。 詳細なデータを集めて安倍総理に質問した際は「不安を煽るような言い方はしないでほしい」「100%年金は支払っている」と答弁している始末なんです。その後の顛末を考えるとあきれてものが言えません。
また第三者委員会ですが、これは私が思った通りの選挙目当ての機関でした。参議院選挙の前から政府与党が「第三者委員会で審査すれば基本的に年金は支払う」と言っていたのが実際に支払われたのは数%。選挙目当てに一部の人を大々的にマスコミに取り上げさせて「救済」し、選挙が終わればまったく救済せず、これでは以前の社会保険庁が取っていた対応に逆戻りして。「証拠を出せ。領収書を出せ」とは。
20年前の領収書がないから救済できないので第三者委員会を作ったのに、まったくもって驚いてしまうような対応ばかりです。


この他にもご紹介できない様々な裏話や、講師の先生の個性溢れるトークを堪能させていただく貴重な時間となりました。

▼最後に

今回もたくさんの大学生の皆さんが参加してくださいました。今後も経済人クラブは学生の皆さんに門戸の開かれたエネルギー溢れる会にして行きたいと考えています。

 

【レポート:同志社大学工学部 4 回 飯田哲史】