例会報告
宮崎 哲弥氏

第600回記念例会

 
日 時 : 平成21年1月23日(金)
場 所 : 京都全日空ホテル
ゲスト: 宮崎 哲弥氏 (評論家)
インタビュー: 小関 道幸氏 (朝日放送広報局次長)
テーマ: 「〜Change〜 2009年、日本に変革は訪れるのか」 


今回の経済人クラブは、評論家の宮崎哲弥氏、朝日放送広報局次長の小関道幸氏にお越しいただいての、「 CHANGE 〜 2009 年、日本に変革は訪れるのか〜」をテーマとする新春トークショーを開催いたしました。宮崎氏、小関氏が話されたトピックスをいくつか紹介します。

● 3 年後に消費税は上げるべきなのか?
増税をする以前に、天下りや埋蔵金、そういった不明瞭なものをすべて明らかにすることが増税の前提条件である。また、消費税は徴税コストがかからないので簡単に増税することができるのも、積極的な増税案を後押ししている。
しかしここで問題となるのは、増税によって財政は良くなるのかということだ。かつて、消費税を 3 %から 5 %に引き上げた時は、結局無駄遣いで財政は上向かなかった。

●定額給付金は愚策なのか
給付金を支給するのは恐慌時において一般的であり、ニュートラルな政策であるといえる。今回の金融危機でも、米仏豪など、日本以外の国も給付金を政策として実施している。しかし、日本の給付金政策が迷走してしまう理由の一つが、支給額の小ささであろう。アメリカでは 4 〜 5 万円程度現金支給するのに対し、日本では 1 万 2 千円と低額である。
また、経済政策の報道について、報道記者が経済学の勉強が不十分であるため、財務省の説明を鵜呑みにし、示し合わせたように同じ記事ができることも問題視しなければならない。

●オバマ内閣について
たった 4 年の上院議員という浅いキャリアのオバマに期待できること、採用されたスピーチライターが 27 歳であることなどから、アメリカの政治は若者を鍛える土壌があるが、日本にこれはない。就任演説は抑え気味であったが、これはワシントン、 FDR 、 JFK など、名演説が数多く残される大統領就任演説としては異例だ。しかし、全メディアがスピーチを全文掲載している。就任演説は控えめだが、メッセージ性があるといえるだろう。

●オバマ内閣のキャスト
スタッフは強力だ。財務長官ガイトナーは良い人選であり、今後の経済に期待できる。外交は国務大臣ヒラリー・クリントンが対日強硬派だといわれているが、対北朝鮮に関しては、ヒル国務次官補より強力だ。しかし、拉致問題は打開の余地はない。原因としては金総書記が出てこられないことが大きい。パレスチナ問題についてだが、先日のガザ地区への攻撃は、イスラエル国内の選挙が近いことに加えて、イスラエルはオバマが親アラブであると認識していることのアピールだろう。景気回復のために戦争をするという発想があるが、これは多国間同士の戦争のみにいえることなので、パレスチナ問題の早期解決が目下の課題だ。

●政界再編
次の政権は景気が悪いほど自公にとっては厳しいものとなる。現在、民主党中堅議員がアメリカ国務省、大使館と連絡を取って政権獲得の後の対米外交について話している。加えて、民主党議員は霞ヶ関にも足しげく通っているが、 CHANGE の本質は霞ヶ関にある。自民党議員は官僚の説明を咀嚼して理解できるが、民主党にまだその技術はないので官僚に言いくるめられる可能性がある。ぜひ、民主党の京都学派の議員にリーダーシップをとってもらいたい。

●小泉劇場
小泉―竹中経済に正確な分析、評価を下せるのはあと 10 年ほどかかるだろう。小泉さんのような政治家はしばらく出てこない。強いて言えば、橋下徹が小泉と同じ政治手法だ。間違いなく数年後、国政に出てくるだろう。

●学生へ
若者の政治的無関心は批判されがちだが、若者が政治に関心を持たざるを得ない社会というのは、時代が良くないということなので、関心を持たずにいるほうが平和な社会である。大変な時代だが、文明を受け入れる責任があるので、不況も自分の糧にして頑張ってください。

【レポート:京都大学2回生 菅原聡子】