例会報告
所 功 氏(京都産業大学法学部教授)

第615回定例会

日 時 : 平成24年1月24日(火)
場 所 : 京都全日空ホテル 嵯峨の間
講 師 : 所 功  氏(京都産業大学法学部教授)
テーマ : 「日本人の底力を見直す〜皇室をお手本として〜」


「日本人の底力を見直す」

  あらためて「原点」を考え直す有意義な 1 時間半であった。 2012 年をなんとか日本再生の年にしたい、という所功氏の熱い想いと、前のめりになって聞いていた参加者の熱が交錯した素晴らしい空間だった。その場に居合わせたことに感謝したい。平常時なら、従来のような考え方、生き方で良かったのかもしれない。しかし、 3.11 を経て、また経済的にも非常時である今、我々はどう生きればよいのか。自分のことすらも出来ないのに国のことが出来るか。自分のことしか考えていない人と、天下国家を考えている人はすぐに見分けがつく、と所氏は言う。 2012 年、辰年=龍のように飛躍するといった年の初めに、志を立てること、言葉には想いがなければ伝わらないということ、を身を持って教えていただいた。


東日本大震災から現代社会の価値観を問い直す

所氏今回の地震に伴う原子力事故は「人災」である、と看破する。明治、昭和にも大地震、大津波があったという歴史がありながら、その教訓を生かせなかった。しかし、その責任が政府や東電にあったとしても、それを非難するだけで終わってはならない。そんな内閣や国会議員を選んだのも、また電力などを売買し大量の生産活動と贅沢な消費活動をしてきなのも、他ならぬ私たち国民だからである、と所氏は述べる。つまるところ、こういった民主政治も貨幣経済も、現在の自分の利益 ( 票数や金額の多少 ) に左右される。今まで是としてきたこれらのことを今こそ考え直すべきではないだろうか。奇しくも今回の震災が、いろいろなことを我々に教えてくれ、今の日本の垢を洗い流すきっかけになるのではと筆者は感じる。以下は所氏がご紹介くださった、被災地の小学生の言葉である。題は「世界の絆〜命にありがとう〜」である。「やっと気が付いた。普通の暮らしは当たり前ではない。何気ないことも大切なんだ。人は一人では生きられない。だから助け合うんだ。未来はみんなで作るんだ」

  自分さえよければそれで良いのか。ボランティアの方々がみんなのために命を失った。 自分の人生、どこに価値観を据えていくのか、今ひとりひとりが問われている。所氏は言う。「多少地位やお金が少なくても、みんなに信頼され、感謝されるような人生、それが幸福な人生というのではないか。そしてそこから日本の底力が生まれるんだ。」


両陛下の「大震災即応」に学ぶ

異例の出来事である。大震災が起こった 3.11 からわずか 5 日。天皇陛下がお言葉を発表した。少し抜粋させていただくと、「この大災害を生き抜き、被害者として自らを励ましつつ、これからの日々を生きようとしている人々の“雄々しさ”に深く胸を打たれています」そして、「国民ひとりひとりが、被災した各地域の上にこれからも長く心を寄せ、被災者とともにそれぞれの地域の復興の道のりを見守り続けていくことを心より願っています」と。

  これは戦争終了時、当時 11 歳であった皇太子の書かれた決意のまさに行動の結果であるといえる。いざとなったらすぐ行動できる覚悟といったものを我々は学ぶべきである。

  現代の混迷とした時代に生きなければならない我々は悲観ばかりしていても何も生まれない。天皇陛下の行動をお手本、原点としたい。所氏は最後、山登りのお話をされていた。


  山登りの際、遭難したらどうするか。まず麓に戻ることが重要だと言う。今こそ日本は原点に立ち返りながら前に進むべきではないであろうか。失意泰然、辛く厳しい状態の時こそ明るく生きる、といった心意気を胸に。




≪文責:同志社大学経済学部4回生 小松原駿≫